私の王子様は、冷酷なんかじゃありません


鼻全体にじんわりとした痛みが広がる。


「ご、ごめん!鼻ぶつけた……よね」

そう言って焦る王子。

「だ、だいびょうぶれふ」


大丈夫です、そういいたいのになんだか声がおかしくなってしまった。

私きっと、今ぶつけた鼻が真っ赤になってる。

それに赤いのは……鼻だけじゃなくて、顔も。

心配そうに私の顔を覗きこむ王子。

そんな王子を見たら───


馬鹿みたいにドキドキして、
他のことなんか何も考えられなくなって……


心の中で、たくさんの大好きがあふれていく。



───好き。

私は王子の事が大好き。



大好き、大好き、大好き……



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