私の王子様は、冷酷なんかじゃありません
唇の上で囁かれたその言葉に……
腰が抜けそうになった。
「お、お、王子今なんて……?」
「──葉月の事が好きだよ」
そう言って、王子がいたずらっぽく微笑み、もう一度軽いキスを落とす。
そして、私の額に、王子の額がコツン、と重なる。
「あの日……葉月を拾ったあの日から、潜在的な所で、もう好きだったのかも」
「えっ……?」
あの日って、私を助けてくれたあの日?
あまりの急展開に脳がついていけない。
そんなことって……そんなことって。
「鋤でも、隙間の隙でもなくて、ちゃんと、恋愛感情の好き……ですか?」
「……何言ってんの?」
ほんとだ私、何いってるんだろう……
───葉月の事が好きだよ
って……
信じられない。
王子も、私の事が好き───?
信じられないけど、信じてもいい、の?
「え……ほんとに、ですか?」
「こんなことで嘘なんてつかない」
そう言って少し拗ねたような顔をする王子。
気がつけば、私は王子にぎゅーっと抱きついていた。