私の王子様は、冷酷なんかじゃありません
「わ、私も!私もあなたの事が好きです……!」
「うん、俺も」
そう言って、王子が私の頭をポンポンっと撫でた。
それが幸せで……溶けてしまいそうなくらいに幸せで、王子を抱き締める手にいっそう力を込めた。
そんな私を抱き締め返しながら、
──王子が低い声で言う。
「ねぇ葉月。ここを出ていくってどういう事?お世話になりました、って何」
「えっ……そ、そそそれは……」
てっきりふられるとばかり思っていたから、出ていく体で話を進めていたんだった。
「え、えと……私、ここにいてもいいんですか?」
そう訊ねると、王子からギロリと睨まれる。
ひぃっ……こ、怖いです、王子。
「何?俺に告白して、そんでここを出ていくつもりだったわけ?」
「う、それは……」
正確には私は告白するつもりなんかなかったし、背中を押してくれたのは類なんだけど……まぁ、そうだ。
「──ごめんなさい……って、ひゃあっ」
耳を甘噛みされて、変な声をあげてしまう。
そんな私の反応を面白がるように、
王子の唇が私の唇へと移動した。
そして…再び、優しいキスを落とされる。
「んっ……」
「葉月、ずっとここにいて」