私の王子様は、冷酷なんかじゃありません
そ、それにしてもこの状況はちょっと……
「ん……」
耳元で聞こえる、いつもより低い王子の声に、ドキッと胸が跳ねる。
これは……朝から心臓に悪すぎる!
「お、王子!起きてくださ……って、うわぁっ!」
王子の腕から抜け出そうとすると、
逆に腕に力を込められて逃げられなくなった。
「葉月、おはよう。何?」
「何って、放してください!」
そう言ってジタバタするも、
王子の力にはかなわない。
そして───
「ひゃぁ……っっ」
王子に、耳を噛まれた。