私の王子様は、冷酷なんかじゃありません
「わかったならいいよ、おやすみ。仕事は明日からでいいから、今日は休んで」
王子が呆れたような顔をしてそう言って、部屋を出ていこうとする。
呆れたような顔をしていても、言ってることは優しくて少し感動する。
「お、おやすみなさいっ」
声が思わず上ずった。
「うん、おやすみ」
王子が、もう一度おやすみ、と返して部屋を出ていく。
誰かにおやすみ、なんていって寝たのはいつぶりかな。
そんなことを考えながら、私は眠りについた。