私の王子様は、冷酷なんかじゃありません
「俺、早く朝ごはんが食べたい」
そう呟く王子の声はあくまで淡々としていてぶっきらぼうだ。
でも…なんだか、いってることが可愛いくて、ついつい頬がほころんでしまった。
「分かりました!朝ごはんですね!早くつくりますっ」
「うん、ありがとう」
──キッチン、こっちだから。
そういってすすむ王子の後について部屋を出る。
部屋を出て小さな廊下をすすんだ先がリビングで、その先にあるのがキッチンのようだった。
王子の家は、一言でいうとものすごく殺風景だ。
いいマンションなんだろうけど、なんせ物が少なすぎる。
リビングにはテレビとテーブルとソファー以外、日用品が見当たらない。
私がかりた部屋もそうだった。
男の人の部屋って、こんな感じなのかな。
そんなことを考えてつつ、キッチンに目をやり────ぎょっとする。
キッチンは遠目に見てもその、なんというか…すごい状況にあった。
シンクには、収まりきれそうにない程の洗い物が溢れていて。
それに山積みになっているカップラーメンやインスタント食品の数々…
王子がどんな食生活を送っていたかなんて、一目瞭然だった。
目を点にして唖然となる私。