私の王子様は、冷酷なんかじゃありません

「先輩、できました」


シンクにたまってる食器の中にいつも使ってるお箸なんかがあるんだろうけど、それを探すのは至難の業のように思えたので、


お椀やお箸は食器棚にあるものを適当に使わせてもらう。

そうやって、お盆がみあたらなかったので、何度も往復して朝食をテーブルに運んだ。


「ありがとう。食べてもいい…?」

朝ごはんをまじまじとみつめる王子の顔が、少しほころんだように見えた。

「ど、どうぞ!」


いただきます、と王子が丁寧に手を合わせて、私がつくった朝食に箸をのばす。

王子が朝食を口にする間、私は気が気でなかった。

人に自分の作ったごはんたべてもらうのって、こんなに緊張するものだっけ…

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