私の王子様は、冷酷なんかじゃありません
だから余計に嬉しかった。
それに相手は王子。
学生時代は会話をすることさえ不可能なくらい手の届かない存在だった、冷酷王子。
その憧れの人に、私がつくった朝ごはんをたべてもらってるんだ…
そのことに今更ながら実感がわいてきて、ドキドキしてしまう。
人生ってわからないものだなぁ、なんて。
「料理、上手いんだね。えっと…」
ひととおり朝ごはんを食べ終わった王子が口を開く。
王子が言葉につまったのはどうしてかわかった気がした。
「私、佐原葉月っていいます」
「俺は、海里。海里蓮」
二人で、おそすぎる自己紹介を交わす。
海里蓮…
そういえばそうだった。
そんな名前だった。