私の王子様は、冷酷なんかじゃありません


「れ、冷酷王子…」


気がついた時にはそんな事を口走っていて。

なんてことを言ってしまったんだと慌てて手で口を塞いだときには、時すでに遅し。

なんてことをいっちゃったのだろう。

さっき出会ったばかりの男の人を王子呼ばわりするなんて…

恥ずかしさに倒れそうになる。


どうか聞こえていませんようにと願う私の心も虚しく、



「冷酷王子?」


男の人が戸惑ったような顔でそうリピートした。


あぁあやっぱり聞こえてた!!


恥ずかしさやら何やらで、膝から崩れ落ちそうになった。

王子の顔が、困惑から不快そうな表情に変わるのが分かる。

やってしまった、と、本当に消えたくなった。


「君さ、もしかして香月高校の?」


香月高校出身であるのかという質問に、
コク…と小さくうなずく。


王子は、知ってたんだ。


自分が高校で冷酷王子、ってみんなから呼ばれてたこと。


その質問をされたこととタイミングで察した。

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