私の王子様は、冷酷なんかじゃありません
ようし、今日もがんばるぞ!
そういってごはんの支度をしようと立ち上がったとき。
「今日の夕飯何?」
「う、うわぁっ…!」
急に背後から声をかけられ、
とびあがって驚いてしまう。
び、びっくりしたぁ~…。ほんとに王子は足音をたてないで人に近づくからこんな風におどろいてしまうのも日常茶飯事だ。
わざとではないんだろうけど…。
「今日はシチューにします!」
「へぇ、楽しみ」
そう言って無邪気に微笑む王子。
王子の家にきて、もう三日がたとうとしている。
高校生だったあの日から、私が家政婦として雇われるあの日まで、私は王子が怖いなんてとんだ勘違いをしていて…
でも、もう王子を怖いなんて思うことはなくなった。
というよりもむしろ、可愛いな、なんて思ってしまう。