私の王子様は、冷酷なんかじゃありません

「実は最近、厳しいんだ…」

出た。王子のわるい癖。

「海里先輩はいつも言葉足らずです!ちゃんとわかるように説明してください」

そういうと、あぁごめんと王子が謝って、続ける。

厳しい…って、経営がってことかな?
有名だし、ご主人も誉めてたし…人気のカフェなのに、経営難とか、ありうるの?

「いや、お客がこないってわけじゃなくて、むしろ逆っていうかその…人手が、足りないんだ。」


そうやって、申し訳なさそうな顔になる王子。

あぁ、繁盛しすぎて大変なんだ…

具材を鍋にうつしながら、うんうんと頷く。

王子が仕事に追われてる日々を過ごしていることは分かっていた。
なにせ、あんなに荒れる生活を送っている理由なんて、仕事が大変だってこと以外に思いつかない。

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