私の王子様は、冷酷なんかじゃありません
「美咲のわがままのせいで今、店…やばいことになってる。
だからさ、本当に申し訳ないんだけど…
家政婦の仕事までやらせといて何?って感じかもしれないけど…」
シチューをグツグツにこみながら話をきく私に、王子が頭を下げた。
「葉月に、店を手伝ってほしい」
葉月なら、きっと美咲もオッケーすると思う…と、付け加えるように呟く王子。
いきなり頭を下げられたものだから、びっくりしてしまう。
お話って、そのことだったんだ。
「葉月、新しいアルバイトがみつかる間だけでいいんだ。その間家政婦の仕事も休んでいいから…。
だから…… 駄目かな?」
駄目かな?と首をかしげるようにして私の顔をのぞきこむ王子に、不覚にもドキっとしてしまう。
いくら王子がかっこいいからって、こんな時にまで王子にドキドキしてしまう自分が嫌だ。