私の王子様は、冷酷なんかじゃありません

結局、クビになっちゃったんだけど…

「……」

思い出したくないことを思いだしてしまって、自分の表情が暗くなるのが分かる。

そのことに王子も気がついたのだろう。

王子は、私が前働いていたラーメン屋の話からいきなり話題をかえた。


「そういえば、葉月の好きな食べ物って何」


ぶっきらぼうにたずねられたそのテンプレートすぎる質問に、吹き出しそうになった。

王子、わかりやすすぎる。

笑いそうになるのをぐっとこらえ、答える。

「オムライスが好きですよ。海里先輩は?」

「俺?」

自分にふられるとおもっていなかったのか、王子がふとだまりこんでうーん、うーんと考えだす。


え。


そんなに難しい質問じゃないような気がする…




< 61 / 300 >

この作品をシェア

pagetop