私の王子様は、冷酷なんかじゃありません

「俺、今まであんまり食事ってものに興味がなくて。毎日仕事仕事で忙しくて、まかない以外の食事なんて本当に適当だったんだ。葉月がここに来る前までは。」

「……。」

王子がそれまでどんな食生活をおくっていたかなんてことは、あの日のキッチンの様子を見た日から分かっている。

きっと王子が私がつくったなんてことない普通のごはんを、美味しそうに食べてくれる理由は、きっと今までの食生活にある。


王子が続ける。


「だから…葉月が来てくれてから、俺食事するのが好きになった。

だから、葉月が作ってくれる料理が、俺の好きな食べ物…かな」



「へっ?」


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