私の王子様は、冷酷なんかじゃありません

王子の真剣な目が私を捕らえる。

予想だにしなかった王子の答えに驚いて固まって──

全身が心臓になったみたいにドキドキする。

私の作る料理が好きな食べ物なんて…

王子、恐るべし。 こんなのってない。

でも内心はとびあがってしまいそうな程嬉しくて。

照れくさいのと恥ずかしいので胸がいっぱいいっぱいになった。



「か、海里先輩はずるいです」


「え、そんなことない」





この、天然タラシめ……!

半分本気で王子を睨み付けるけど、そんな私に気がつかない王子は美味しそうにシチューを食べていた。

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