私の王子様は、冷酷なんかじゃありません
「葉月、俺の事見るの好きだよね」
王子がふいにそんなことを呟く。
……はい!?
「ち、違います!」
全力で否定する私に、ふーん、と王子が意地悪そうに目を細めて、おもしろがるような相づちをうつ。
そんな今までにみたことのない王子の表情に、ドキッとする。
いつもいつも、それを悟られないようにするのに精一杯だ。
まぁ、鈍感王子のことだから、そこは大丈夫だとは思うけど…
「俺…女ってさ、俺の事ガン見してくるくせに目があったらすごい勢いでそらすし、俺に聞こえるように悪口いってさわぎだすし…本当に女って苦手だったんだ」
突然何を思ったのか、また王子が勘違い高校生活についての告白を再開する。
いやいやいや、だから違うんだって…
でもそうつっこんでもきっと王子はフォローとかいらない、とかいうんだろうなぁなんておもうと、もうツッコむ気力はない。
「へぇ、そうなんですね」
この、鈍感王子め。
「ん。でも俺、葉月の事は大丈夫みたい」
そんな事をさらりと言うものだから、もうほんとにやめてほしかった。