私の王子様は、冷酷なんかじゃありません
「嫉妬なんてしてない」
「私可愛くなんてないです」
王子と私の言葉が重なったのはほぼ同時。
王子の怒ったようなその声に少し傷つく。
「ええっ、葉月ちゃん。あなたもうちょっと自信持った方がいいわ。ほんとに可愛いんだから!」
美咲さんがものすごい勢いでそう訴えた。
こういう時って、ほんとにどういう反応をしたらいいか分からない。
本当に可愛い人だったら、ただ謙遜すればいいだけなのかもしれないけど、そうでない私が謙遜したら、なんだか真に受けているみたいで恥ずかしい。
かといって、ですよね~!と冗談をいえるような関係ではないし。
それに、美しさが尋常じゃないくらいの美人さんにそんなことを言われても逆につらい。
そもそもこの超美形な二人と一緒の空間にいることがなかなかに辛いというのに。
「じ、自信なんてもてるような顔してませんから!」
結局、気をつかわせないように、明るく否定する。