私の王子様は、冷酷なんかじゃありません
自分で否定しておいて、なんだか本格的に辛くなってきたその時だった。
「葉月は可愛いよ」
王子が、真顔でそんなそんなことをさらりと呟いた。
一瞬、心臓が止まった気がした。
か、可愛いって……
えええええ、どうしちゃったの王子!?
「あんなに女におびえまくってた蓮がねぇ。そんな事をさらりと言えるような男になったなんて。……成長したわね、蓮」
美咲さんがあまりにも優しい顔をしてそんな事を王子に言うものだから、否定するタイミングを逃してしまう。
タイミングを逃したまま二人はありえない会話を交わし出した。
「これで蓮の女嫌いも解消かな?」
「……違う。葉月が特別なだけだから」
王子がなんてことない顔で、さらりととんでもないことを口にする。
「…………。」
でた、王子の無自覚タラシ攻撃。