私の王子様は、冷酷なんかじゃありません
王子は、相変わらずかっこいい。
それはもう、女なら、誰でもその魅力にからめとられる程に。
でも王子の魅力は彼を包むどこか冷血漢な雰囲気にある気がしていた。
でも、だから学校中の女子たちは王子を遠くからみてキャアキャアはしゃぐことはあっても、本人を目の前にはしゃぐことはおろか、アタックする人だっていなかった。
だって怖かったから。
少し雰囲気が柔らかくなったとはいえ、クールなその目が今も昔も少しだけ怖い。
「…帰った方がいいと思う。ここは危ないんじゃない?」
王子が、淡々と、心配するように呟いた。
ここで泣くなんて、ということだろうか。
確かに、夜の公園は危ない…かも。
私、女だし。
でも…
はい、と素直に返事をすればいいのに。
本当の事言ったら、困らせることくらい私だってわかってるのに。