私の王子様は、冷酷なんかじゃありません
「葉月、顔が赤いけどどうかした?」
「あ、赤くなんてないです!」
王子に言われて顔があつくなっていることに気がつく。
どうかした?って…
そんなの、王子のせいにきまってるじゃない!
「葉月、嘘はよくない。だって赤…」
「赤くないですから!」
海里先輩のせいです。
なんて、そんなこと言えるはずなかった。
駄目だ。またいつものが始まってしまう。
鈍感な王子相手に不毛な会話を続けるのは私達にとって珍しいことではなかった。
少しはこっちの気持ちも察してよ…!
そんな叶わない願望を心の中でさけぶ。
そして、赤いだの赤くないだの言い合っている私達をみて、美咲さんがにやにや楽しそうにしているのに気がついた。