私の王子様は、冷酷なんかじゃありません
「蓮ったら、葉月ちゃんを困らせないの」
そんなことをいいつつ、美咲さんの顔はゆるみきっているというか、にやついてる。
血がつながっているとはいえ、美咲さんが王子とはちがってちゃんと鋭い所に少し安心する。
はぁ……
王子が鈍感で無自覚で天然なんかじゃなきゃよかったのに。
そしたら、無駄にドキドキさせられることなんかなかったのに。
「葉月?」
「……っっ」
私が変な表情になっていたからだろか。
王子が、どうしたの?とたずねるように私の顔をのぞきこむ。
ち、近い……!