私の王子様は、冷酷なんかじゃありません
わざとではないことは分かっているけど、それにしても近い。
王子はまるでわかっていないんだ。
その容姿で女の人にそんな近づいちゃだめだよ……
私じゃなかったら、きっと大抵の女の人は絶対ころっといっちゃうだろう。
「蓮、私の葉月ちゃんにそんなに近づかないでよ」
この場に美咲さんがいてくれてよかったと心から思った。
「海里先輩、ち、近いです…」
そう言うと、王子がハッとしたように私から離れる。そして、近づいてごめん、と力なく謝られた。