龍瞳ーその瞳に映るもの
流れたのは沈黙とラジオの音だけ。
ついたのはアズの部屋ではなく
見知らぬ場所にポツンとある倉庫。
潮の匂いがするけれど
ここに来るまでに海は見えなかった。
静かに車は止まる。
だけど、アズが車を降りる気配はなく
運転席に座ったまま。
だから、私もそうした。
「死ぬのは嫌か」
ふいに聞くには相応しくない問いかけ。
そんなもの誰だって嫌に決まっている。
「…嫌」
「じゃあ、人を死なせるのは嫌か」
嫌じゃない人はいるだろうけれど…
「嫌」
私は嫌だ。
聞かれて頭に浮かんだ店長と市原さんの顔。
あの2人がもしも死んでしまっていたら
私は嫌だから。
ついたのはアズの部屋ではなく
見知らぬ場所にポツンとある倉庫。
潮の匂いがするけれど
ここに来るまでに海は見えなかった。
静かに車は止まる。
だけど、アズが車を降りる気配はなく
運転席に座ったまま。
だから、私もそうした。
「死ぬのは嫌か」
ふいに聞くには相応しくない問いかけ。
そんなもの誰だって嫌に決まっている。
「…嫌」
「じゃあ、人を死なせるのは嫌か」
嫌じゃない人はいるだろうけれど…
「嫌」
私は嫌だ。
聞かれて頭に浮かんだ店長と市原さんの顔。
あの2人がもしも死んでしまっていたら
私は嫌だから。