龍瞳ーその瞳に映るもの
事は進んでいると言っていた言葉通り
それから間もなく事態は急展開する。

アズに送ってもらった帰り道
あと少しで家だという距離で
後ろから声をかけられた。

「久しぶりだな」

「…」

不思議と怖くはなかったけれど
下手に動いちゃいけないと思うと
体が固まってしまう。

「元気そうじゃん」

それは旧友に再会したような言い方で
違和感しか感じない。

「美緒に聞いてたのとは違って垢抜けたな」

淡々と話を進めるイクヤに警戒しながら
アズに渡されている催涙スプレーが入ったバックを手に引き寄せる。
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