龍瞳ーその瞳に映るもの
絶妙な位置で輪郭がぼんやりとわかる
程度のフレームイン。

「美緒が色んな男と関係あるのは知ってる。
それはいいんだ、ただ…今回は違う。
俺を避けてる。君のせいにして
会えないと言ってた。最初は信じてたけど
それは嘘だってわかってる。
美緒はこの男に騙されてるんだ」

騙されてるかどうかは別として
美緒ちゃんがこの男の人を本気で
好きだという事は間違いない。

「美緒は危ない男に弱いんだ」

イクヤの裏事情を知って聞くと
説得力があり過ぎて逆に返事に困る。

「そこで提案なんだが…」

水滴のいっばいついたグラスの水を
一気飲みしたイクヤ。

「君に手を出さない代わりに
美緒の相手の男を調べて欲しい」

それは私にとって何の得があるのか
わからないけどここは乗るしかない。

「美緒に言われてたんだ。
落ちついたら君をマワセと」

やっぱりイクヤは頭がおかしい。
そんな事、本人に言う事じゃない。

「手は出さない、いい条件だろ?」

アズの生きる世界は異常だったとするならば
この人達の生きる世界はもっと異常だ。
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