龍瞳ーその瞳に映るもの
「この辺りなんだけどな」

コンビニの駐車場でパソコンと
にらめっこのイクヤにため息が
出そうになるのを我慢する。

さっさと見つけろよ、クズなんて
言えるわけはない。

さっき買ってきたブラックコーヒーの
タブを開けてイクヤに渡す。

「はい、眠気覚しにどうぞ」

「ありがとう」

嬉しそうに受け取るイクヤ越しに
美緒は息が止まりそうになる。

「イクヤ、隠れて!」

思い切り後ろにシートを下げて
美緒は空いたスペースに潜り込み
慌てながらもイクヤは美緒のいなくなったシートに伏せるように横になった。

「ナノハがこっちに歩いて来てる」

フロント以外フルスモークの車。
外からは見える事はないはず。
だけど自然と声をひそめてしまう。

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