龍瞳ーその瞳に映るもの
「これ飲めよ」

美緒の心労は募るばかり。
周回ツアーから二人を尾行ツアーに変わり目を覆いたくなる光景を毎日見なければいけない。

あれだけ姿を見せなかった二人が嘘みたい。
二人であちこちに出掛ける。
手を繋ぎ肩を寄せ合いキスをする。
二人きりでいるような濃厚なキスをする。

「あぁあぅあぁあぁぁあ」

眠っていてもナノハのうっとりした顔が
頭に浮かんでうなされる。

「もうやめようよ」

朝から晩まで二人を尾行し
夜は眠れないナノハをみかねた
イクヤは弱気になっている。

「やめないわよ、尻尾を掴むんだから」

美緒をこんなにしてほってナノハを
野放しにできるわけないじゃない。
そんなの不公平過ぎる。
神様が許しても美緒が許さない。
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