先生のことなんて好きにならない!
雨の中、少し小走りで先生の車へと向かう。
「今日はこっち」
そう言って先生は私を後部座席へ案内した。
どうして?と言う顔をしながら車へ乗り込むと、
「この時間だと他に生徒や先生がいるかもしれないだろ」
「ああ、なるほど」
「シートベルトおつけしましょうか?」
「結構です」
そう格好付けて、シートベルトを引っ張るのだけど、なんとも上手くいかない。
「下手だよなぁ」
「こんなんで車なんて運転できるんですかね」
「シートベルトなんていつでも付けられるようになるよ」
そう言って先生は私にシートベルトを付け、運転席へ回った。
シートベルトをつけてもらう時は、もちろん体がかなり密着するのだけど、なぜかときめかないのは、これが子どもをチャイルドシートに乗せる時と似ているからかもしれない。