先生のことなんて好きにならない!
「それで、返事だけど…」
「はい」
体を起こそうとするわたしを抑え、頭に濡れたタオルを置きながら、また話し始めた。
「俺と七瀬は教師と生徒で…だから、付き合うとかそういうことはできない」
やっぱり、そうだよね。わかっていたけどやっぱり辛い。
「気持ち…伝えられただけで十分です」
「でも…それはあくまで教師である自分からの話であって…俺個人としては、七瀬に好きだって言われて嬉しかったし、俺も同じ気持ちだ。だから…七瀬が卒業するとき、俺からもう一度言わせて欲しい」
「…同じ気持ちって?はっきり言ってください」
嬉しくてにやける顔を掛け布団で覆いながら、そっぽを向いてそう言うと、
「ばかにははっきり言わないとな」
そう言って、先生はわたしの掴む布団をどけてわたしの口にキスをした。
添えられた右手が私の髪を撫でる。
そして、おでこをコツンと合わせ、
「好きだ」
と一言、優しい顔でそう言った。