先生のことなんて好きにならない!




涙も収まり、落ち着いたので自販機で暖かい飲み物を買い、歩きながら私の家まで送ってもらうことになった。



「そういえば、先生。どうして追いかけてきたんですか?」


「ああ、弁当箱。渡してなかったと思って」


「あ!そういえば!忘れてましたね」


「返そうと追いかけると、七瀬が変な男に絡まれてるからびっくりした」


「私もびっくりしましたよ!まさか先生が来てくれるなんて思わなかったですから」



そう。あの時は本当に驚いた。



「追いかけてなかったらと思うとゾッとするよ。七瀬が無事で良かった」



そういうことをさらっという…



「ズルいですよ」


「何がだ」


「いいえ。なにも」



一生徒だから助けたのか。それとも、困っている人を助けずにはいられない性なのか。それとも、私だったから…なんて、それはないだろうけど。


なんにせよ、助けてもらったことは事実だし、感謝すべきことだ。
< 74 / 192 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop