先生のことなんて好きにならない!
「あ、ここが家です」
「ああ」
「じゃあ、あの…また月曜日に」
「うん」
玄関の扉に手をかけ、振り返ると、まだ先生がいた。
「早く入れ」
入るまで見てくれているつもりだろうか。
ここまで優しくされると調子が狂う。
ドアを開け、中へ一歩入り、ドアを閉めかけた所でひょっこりと顔を出し、笑顔で手を振ると、先生は笑顔ではなかったが、手を振り返してくれた。
こんなことしてくれるなんて、きっと学校中の諸星先生ファンの子でも知らないだろう。
なんだか先生を勝手に独り占め出来ているような気がして、すこしドキドキした。