イジワル御曹司のギャップに参ってます!
私たち四人は『東京ラブランドパーク』を出る前に、夜のパレードを少しだけ眺めることにした。
パレード見物の場所取りが熾烈過ぎて、四人並んで見れるような場所もなく、二組に分かれて適当な場所からそれぞれ見学し、そのまま解散という流れになった。
もちろん、私と市ヶ谷くん、氷川と青山さんというペア構成だ。

プロジェクションマッピングを全面的に押し出したこのパレートは、闇色の街並みに幾千、幾憶の光が螺旋を描き映し出されて、『ラブ・キャッスル』の中で見た『あの光景』を彷彿とさせた。
けれど、あのときほどの感動は自分の中に沸き上がらない。

私の隣にいる市ヶ谷くんが「これが、クライアントの言っていたキラキラクラクラってやつですかねぇ」と問いかけてきた。
私はうん、と頷きながらも、心の中では首を横に振っていた。

違う。こんなもんじゃない。表しきれていない。
本当の感動を創り出すには、ピースが足りない。

――『あなたは、俺と同じことを感じられているのかな?』――

あのときの私は、口では表現できないほどの感動を得られていたし、きっとそれは流星が感じていたものと同じだったんだと思う。
――ううん、思って、いた。

今頃、あの二人もこの光景を別の場所から見ているのだろう。
それを見て、氷川はどう思うのだろうか。
あのときと同じ感動を得られているのだろうか。
このあと、二人で感動を語り合いながら帰路へ着くのだろうか。
冷静な氷川と、ポーカーフェイスの青山さん、傍から見たら冷めたようにしか見えない二人の、彼らにしか分かり合えない熱い心の触れ合い――

いろんなことがごちゃごちゃと頭に引っかかりながらも、なるべく考えないように努めた。
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