イジワル御曹司のギャップに参ってます!
私は――
なんてことを、しちゃったんだろう。
今まで、これほど酷い失敗をしたことなんてなかった。
いつも、だいたいのことは順調に進んできて、何かトラブルがあっても、自分の力でどうにかリカバリすることが出来た。
けれど、今度は。
視界が絶望に掻き消されて、真っ暗になった。
一瞬平衡感覚を失って、足元がよろける。
身体を斜めにしながら、ショックを受け過ぎて気絶することなんて本当にあるんだなと、ぼんやりと実感した。
もういっそ、このまま地面に埋もれて消え失せてしまいたい。
だが、倒れそうになる私の身体を支える腕があった。
「朱石さん!? 大丈夫ですか!?」
正気に戻ると、目の前には氷川の顔があって、今までに見たこともないような蒼白な顔で私を覗き込んでいた。
どうして彼がそんな顔をしているのか。私のこと、嫌いだったはずなのに。
何故だかこのときの私には、もう物事を真っ直ぐに捉える心とか、他人の心を推し量る優しさとか、そういったものがごっそりと抜け落ちていた。
氷川に向かって、どうしようもないこの喪失感を、不条理にぶつけていた。
「ざまあみろって、思ってる?」
「え?」
「言いつけを聞かず、勝手なことをして、自爆して。
自業自得だとか、思ってるんじゃない?」
「そん、な……」
「いつもみたいに、嫌味、言えばいいじゃない。あなたは馬鹿ですね、って」
氷川の腕を振り払って、私は会議室の出口へと向かった。
席に戻らなきゃ。待機してなきゃ。小野田部長に言われた通りに。私なんかにできることなんて、もう何もないんだから。
なんてことを、しちゃったんだろう。
今まで、これほど酷い失敗をしたことなんてなかった。
いつも、だいたいのことは順調に進んできて、何かトラブルがあっても、自分の力でどうにかリカバリすることが出来た。
けれど、今度は。
視界が絶望に掻き消されて、真っ暗になった。
一瞬平衡感覚を失って、足元がよろける。
身体を斜めにしながら、ショックを受け過ぎて気絶することなんて本当にあるんだなと、ぼんやりと実感した。
もういっそ、このまま地面に埋もれて消え失せてしまいたい。
だが、倒れそうになる私の身体を支える腕があった。
「朱石さん!? 大丈夫ですか!?」
正気に戻ると、目の前には氷川の顔があって、今までに見たこともないような蒼白な顔で私を覗き込んでいた。
どうして彼がそんな顔をしているのか。私のこと、嫌いだったはずなのに。
何故だかこのときの私には、もう物事を真っ直ぐに捉える心とか、他人の心を推し量る優しさとか、そういったものがごっそりと抜け落ちていた。
氷川に向かって、どうしようもないこの喪失感を、不条理にぶつけていた。
「ざまあみろって、思ってる?」
「え?」
「言いつけを聞かず、勝手なことをして、自爆して。
自業自得だとか、思ってるんじゃない?」
「そん、な……」
「いつもみたいに、嫌味、言えばいいじゃない。あなたは馬鹿ですね、って」
氷川の腕を振り払って、私は会議室の出口へと向かった。
席に戻らなきゃ。待機してなきゃ。小野田部長に言われた通りに。私なんかにできることなんて、もう何もないんだから。