イジワル御曹司のギャップに参ってます!
流星は適当に返事をしたあと、スーツの内ポケットから手帳を取り出し、ペラペラとめくった。

「明日は21時頃、明後日は20時半頃。明々後日は――結構遅いな。23時半頃。
要領分かった? 明日からはひとりでも来れるよね」

「……もしかして、明日から毎日社長の帰宅時間に合わせて頭を下げに来いって言ってる?」

「そういうこと。あ、白衣も忘れないでね。ただでさえ夜で暗いのに、白い服じゃなきゃ周囲と同化しちゃうから」

平然と言い放つ流星。毎日この時間にって、結構えげつないことを言ってるけど、自覚はあるのだろうか。
たぶん他の人にこんな命令出したら、会社辞めちゃうと思うぞ。
相手が私だと分かっているから、言っているのかもしれないけれど。

……新手のいじめだったりして。

まぁ、私としても社長には謝りたいし、最大限誠意を尽くしたいとも思っているから、流星の作戦に付き合うけれど。
果たして、本当に効果はあるのだろうか……?

「ところで流星、社長の帰宅時間なんて、どうやって調べたの?」

「ん。それは企業秘密」

「そう……」

相変わらずこの男は、よく掴めない人だ。
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