イジワル御曹司のギャップに参ってます!
「あのやり方だけは真似したくないと溢していたあなたが、どうして同じことをしたんですか」

「……この歳になってくると、もう正攻法だけじゃどうにもならなくなってくるんだよ」

「眼鏡を外したのも、同じ理由ですか?」

青山さんの質問の意図は、私にはよく分からなかったけれど、二人の間では十分に通じる内容だったみたいだ。
流星は少しだけ苛立った様子で、髪を乱暴にかき上げる。

「自分の進退如何よりも、譲りたくないものができたんだ」

ぶっきらぼうに言い放った流星。
状況もよく飲み込めないまま佇んでいる私を一瞥した。

「何にせよ、あなたが早く謝罪を成功させることだ。そうすれば情報なんて必要なくなるんだから。
俺も困っているんだ。秘書課の彼女が結構焦れてきてるから、そろそろ夜のお誘いを断る言い訳が尽きてきた」

私の頭にポンと手を置き、ニヤリと意地悪く笑う。

「あなたが謝罪を成功させるのと、俺が秘書課に食べられちゃうのと、どっちが先かな?」

全然笑えない冗談を残して、一人非常階段をあとにしてさっさと帰ってしまった。
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