イジワル御曹司のギャップに参ってます!
少しドキドキしながら、夜の十一時。『ジュエルコスメ』本社ビル裏手にある、駐車場の出口で立っていた。
まだ雨は降り続いていた。
けれど、謝罪の意を示すのに、傘をさすわけにはいかない。
それほど大降りではないけれど、じわりじわりと私の体温を奪っていく雨が、うっとおしくて憎らしかった。
そして。
予定時刻よりも十分過ぎたころ、駐車場の奥から強いヘッドライトの明かりが近づいてきて、真っ黒な高級車が威厳に満ちたその姿を現した。
私は頭を深々と下げ、刻を待つ。
私の作戦が成功ならば、ここで新藤社長が何らかのアクションを起こしてくれるはず。
何事もなく車が通り過ぎれば、それは失敗を意味する。謝罪行脚もこれでおしまい。私は『ジュエルコスメ』から出入り禁止を食らったまま、二度と関連する仕事に携わらせてもらえないだろう。
真っ暗な高級車が、私の前をゆっくりと通り過ぎていく。
何事もなく、いつも通りに。
正面の道路に出て、社長の自宅へ向かい、アクセルをふかす。
――ダメだったか!?
私は頭を深く落としたまま、唇を噛みしめた。
まだ雨は降り続いていた。
けれど、謝罪の意を示すのに、傘をさすわけにはいかない。
それほど大降りではないけれど、じわりじわりと私の体温を奪っていく雨が、うっとおしくて憎らしかった。
そして。
予定時刻よりも十分過ぎたころ、駐車場の奥から強いヘッドライトの明かりが近づいてきて、真っ黒な高級車が威厳に満ちたその姿を現した。
私は頭を深々と下げ、刻を待つ。
私の作戦が成功ならば、ここで新藤社長が何らかのアクションを起こしてくれるはず。
何事もなく車が通り過ぎれば、それは失敗を意味する。謝罪行脚もこれでおしまい。私は『ジュエルコスメ』から出入り禁止を食らったまま、二度と関連する仕事に携わらせてもらえないだろう。
真っ暗な高級車が、私の前をゆっくりと通り過ぎていく。
何事もなく、いつも通りに。
正面の道路に出て、社長の自宅へ向かい、アクセルをふかす。
――ダメだったか!?
私は頭を深く落としたまま、唇を噛みしめた。