イジワル御曹司のギャップに参ってます!
だが。

「間違いありません」

流星は平然と頷いた。

「彼女の企画は、『ジュエルコスメ』に最大限の成果をもたらしてくれます。私が保証致します」

揺るぎない瞳で言い放った彼に、私の方が驚いてしまった。
あれだけ反対していたのに。どうして?
この場の空気を読んでお世辞を言ってくれているのだろうか。
――だが、彼の瞳は真っ直ぐで、実直意外の何物にも見えない。そこに嘘偽りがあるとは思えない。

「君はそれでいいのかね?
彼女の企画が通るようなことがあれば、今度は君が今の地位を奪われるぞ。
それでも君は彼女に賛同するというのか。
自分の指揮で作る広告よりも、彼女の指揮で作る広告の方が上質だと、認めるのか」

意地悪な質問だ。流星を試しているのだろうか。普通の人なら保身のために、ちょっと待ったと言い淀むはずだ。
けれど、流星は。

「ええ」

躊躇いもなく頷いた。

「彼女は我が社で誰よりも御社のためを考え、身をつくして働いています。
この企画の指揮、彼女が誰よりも相応しい」

「自分よりも、というのか?」

「でなければ、新藤社長の元へ謝罪になど行かせません」

普段は柔らかな流星の口調が、いつになく真剣に強張る。揺るがない意志を断言する。

「無難な成功を選ぶか、変化を望むか。あなた次第です、新藤社長。
はっきりとひとつ言えることは、彼女を手放せば、『ジュエルコスメ』は変革の機会を失うでしょう」

相手の立場を顧みない、強気な発言だった。
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