イジワル御曹司のギャップに参ってます!
「それにあなたは彼と違って純真過ぎる人だから。周りのしがらみとか、陰謀とか、何も気にせずに突っ走るから、すごく心配だった。
今回の件――『ジュエルコスメ』の社長に情報が漏れたのは、たまたま運が悪かっただけだと思ってる?」

「違うの?」

「俺は、違うと思ってる」

不意に難しい顔になって、流星が私を見た。

「あなたは最近、すごく目立っていたから、やつらが潰しにかかってくるのも不思議じゃない。
そういうやつらなんだ。だからあなたを矢面に立たせたくなかったのに」

やつらとは、かつて青山さんの言っていた『穏健派』と呼ばれる人たちのことだろうか。
流星の尊敬する師、村正氏を謀略により葬ったという、名前とは裏腹に全く穏やかではない人たち。

「あなたは強いように見えて、脆くて儚いから。
あなたがいつでも、俺の太陽であってくれるように、守ってやりたかった」

揺るぎない強い意志を瞳に宿らせて、流星が私を見据える。
守ってやりたいだなんて、まるで物語に出てくる騎士のような情熱的な言葉で、私の心を震わせる。
自分の胸が、頬が、じんわりと熱を帯びていくのを感じた。

「仕事中、あなたに厳しく当たっていたのは、あなたよりも先に出世すれば、俺が上に立って守ってやれると思ったから。
そうすれば、あなたは細かいことも気にせずに、好きなだけ自由に仕事ができる。
でも、あなたは俺が上に立つことすら許してはくれなかったね。
それどころか、実力で俺を蹴落として上に行ってしまった。
自分の無力さが歯がゆかったよ」

くすくすと失笑する流星。
反対に、彼の独白に戸惑う私。

全部私のため?
嫌味な態度も、厳しい言葉も、恨みのこもった言い草も。
私が彼の憎まれ口を額面通りに受け取って苛々していた横で、彼は私を守ろうと必死になっていたというのか。
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