イジワル御曹司のギャップに参ってます!
「……今は？」

「……もう、別れたよ」

「青山さんは、まだ流星のこと、好きだよ」

「……知ってる」

彼の答えに、思わず表情が強張る。

――じゃあ、どうするの？
もう一度付き合うの？
流星は青山さんのこと、どう思ってるの？

口には出せなかったけれど、気が付いたらじっと彼を見つめていた。
『違うと言って』――きっとそんな目をしていたと思う。

「俺にとっては過去のことだから。今は何もない」

珍しく真面目な顔で、誠実な瞳で、流星は断言する。

「でも、腕組んで歩いてたし」
私の悪い癖だ。素直に信じることができないのは。
「それから、仕事帰り、楽しそうに一緒に帰ったりしてたし」

「……見てたの？」

流星は少しだけ驚いて目を見開いたあと、困ったように眉尻を下げて笑った。

「……もしかして、嫉妬してくれてる？」

「そんなんじゃないよ！」

「……馬鹿だな」

流星が私の頬にかかった髪をかき上げて、耳にかける。
私が唇を噛みしめて睨むと、流星が慈しむような瞳でふふっと笑った。
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