イジワル御曹司のギャップに参ってます!
「あなたのことを、今までどれだけ眺めてきたと思ってる?
強がってるときの顔は、すぐ分かる」

「強がってなんか」

「それ、その顔」

私の膨れた頬に、ぷにっと指を突き立てて、流星は笑う。

「そんな可愛い顔、一度見たら、忘れるわけがない」

「……またからかう」

「からかってないって」

思わず顔を逸らせて背中を向けると、背後から手が伸びてきて、私の身体を抱きすくめた。
全身を包み込む彼の大きな身体に、私は言葉を失う。
どうしようもなく鼓動が高鳴って、そして――嬉しかった。


流星が私の左耳に囁きかける。

「あなたを泣かせたあのときも、今も、独占したいって気持ちは変わらない」

「……独占って――」

「その名の通りだ。あなたが全部欲しい。心も体も」

流星が私を抱きしめる腕に力を込める。

「ねぇ、俺にあなたをちょうだい」

掠れるような声を出して、流星が私の頬に口づける。
出てこない言葉の代わりに、瞳から一筋の涙が溢れた。

すぐに気が付いた流星が、悲し気に呟く。

「……また、泣かせたみたいだ」

「違うの、これはっ……」

あのときみたいに、怯えてるんじゃない。嫌がっているわけじゃない。
今の私が感じているのは――

「……嬉しいの」

戸惑いながら、弱々しく答える。
私の、人生初めての告白だった。
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