イジワル御曹司のギャップに参ってます!
『ジュエルコスメ』の二十周年アニバーサリー企画のチームリーダに復帰して三週間が経とうとしている。
とうとうCMの制作が具体的に動き出して、私は目が回るほどの忙しさになっていた。
全体の指揮を統括しながら、具体的な指示を出し、メンバーのアクションに対しては承認を行わなければならない。
驚くほど私の元に仕事が集中してきて、てんてこ舞いだけれど、同時にやりがいを感じている。
この企画に携わることができて、本当によかった。そんな風に思っている。
私と青山さんが事務連絡を交わす一方、少し離れた場所では、流星と市ヶ谷くんが二人で書類を眺めていた。
「流星さん、どうですか?」
「この表現が弱いかな。ここはハッタリでもいいから強気で押し切って。それから、ここ、具体的な数字がないと説得力が出ないよ」
「なるほど」
悠然とデスクに座ってダメ出しをする流星と、その横に、忠実なしもべのごとく膝を着き指示に従う市ヶ谷くん。
二人の様子を眺めながら、私と青山さんは顔を見合わせる。
「青山さん、最近あの二人、一体どうしちゃったのか知ってる?」
「存じ上げません……」
何故だか、ある日を境に市ヶ谷くんは流星のことを『流星さん』と下の名前で呼ぶようになった。
そしてなんだか妙に懐いている。
ちょっと前まで、流星に対して敵意剥き出しだったはずの市ヶ谷くんが、何故……
原因は、私にも、青山さんにもさっぱり分からなかった。
とうとうCMの制作が具体的に動き出して、私は目が回るほどの忙しさになっていた。
全体の指揮を統括しながら、具体的な指示を出し、メンバーのアクションに対しては承認を行わなければならない。
驚くほど私の元に仕事が集中してきて、てんてこ舞いだけれど、同時にやりがいを感じている。
この企画に携わることができて、本当によかった。そんな風に思っている。
私と青山さんが事務連絡を交わす一方、少し離れた場所では、流星と市ヶ谷くんが二人で書類を眺めていた。
「流星さん、どうですか?」
「この表現が弱いかな。ここはハッタリでもいいから強気で押し切って。それから、ここ、具体的な数字がないと説得力が出ないよ」
「なるほど」
悠然とデスクに座ってダメ出しをする流星と、その横に、忠実なしもべのごとく膝を着き指示に従う市ヶ谷くん。
二人の様子を眺めながら、私と青山さんは顔を見合わせる。
「青山さん、最近あの二人、一体どうしちゃったのか知ってる?」
「存じ上げません……」
何故だか、ある日を境に市ヶ谷くんは流星のことを『流星さん』と下の名前で呼ぶようになった。
そしてなんだか妙に懐いている。
ちょっと前まで、流星に対して敵意剥き出しだったはずの市ヶ谷くんが、何故……
原因は、私にも、青山さんにもさっぱり分からなかった。