イジワル御曹司のギャップに参ってます!
いやいやいやいや、ちょっと待って。
ここ一か月くらい、眼鏡なんてかけてなかったじゃないか。
昨日までの『流星』は――あのフラットな言葉遣いと柔軟な態度は、どこへいってしまったというのか。
困惑する私を前にして
「明らかに嫌そうな顔をしていますね」
氷川がうんざりとした口調でため息を吐く。
「そんなに眼鏡をかけた私が嫌いですか?」
「嫌いもなにも!」
私は椅子から降り、目の前の氷川に手を伸ばす。
彼の目元にあるその眼鏡に、そっと手を触れる。
「あなたがなりたかった姿は、この姿ではないんでしょう?
憧れの人のように、私のように、自由奔放でいたいんでしょう?」
そうっと彼から眼鏡を奪おうとする。このレンズの下に、優しくて綺麗な、いつも私を見守っていてくれた瞳があることを知っている。
が、それは叶わず、私の手は彼の大きな手のひらに掴み取られた。
「気が付いていますか」
氷川が感情のない低い声で、私に言った。
「最近のあなたは弛んでいます。書類には誤字脱字が多いし、内容も以前より完成度が下がっている。
多忙なのはわかります。でも、それだけではないでしょう。
あなた、私が眼鏡を外してから、完全に気が抜けていますね」
氷川が、私の手を冷たく突き放した。
「私が細かな指摘をしなくなったのをいいことに、手を抜いてはいませんか?」
ここ一か月くらい、眼鏡なんてかけてなかったじゃないか。
昨日までの『流星』は――あのフラットな言葉遣いと柔軟な態度は、どこへいってしまったというのか。
困惑する私を前にして
「明らかに嫌そうな顔をしていますね」
氷川がうんざりとした口調でため息を吐く。
「そんなに眼鏡をかけた私が嫌いですか?」
「嫌いもなにも!」
私は椅子から降り、目の前の氷川に手を伸ばす。
彼の目元にあるその眼鏡に、そっと手を触れる。
「あなたがなりたかった姿は、この姿ではないんでしょう?
憧れの人のように、私のように、自由奔放でいたいんでしょう?」
そうっと彼から眼鏡を奪おうとする。このレンズの下に、優しくて綺麗な、いつも私を見守っていてくれた瞳があることを知っている。
が、それは叶わず、私の手は彼の大きな手のひらに掴み取られた。
「気が付いていますか」
氷川が感情のない低い声で、私に言った。
「最近のあなたは弛んでいます。書類には誤字脱字が多いし、内容も以前より完成度が下がっている。
多忙なのはわかります。でも、それだけではないでしょう。
あなた、私が眼鏡を外してから、完全に気が抜けていますね」
氷川が、私の手を冷たく突き放した。
「私が細かな指摘をしなくなったのをいいことに、手を抜いてはいませんか?」