イジワル御曹司のギャップに参ってます!
「危ない!」
私が立っていた横断歩道ぎりぎりのところを、猛スピードの車が駆け抜ける。
すんでのところで私の腕を掴み取った氷川が、自分の元へと引き寄せた。
「きゃっ!」
勢いのまま胸元に衝突してきた私を、氷川がしっかりと抱きとめる。
彼の手にしていた傘が小さな音を立てて地面へと転がり落ちた。
私たちは抱き合った姿勢のまま、強い雨に晒される。
全身に打ち付ける雨の冷たさが痛い。それ以上に、彼の腕が温かくて優しい。
「……大丈夫ですか?」
頭の上から声がして、止まっていた思考が動き出した。
私の頬に触れる彼の胸。少し硬くて、思った以上に逞しい。
耳を震わす鼓動の音は私のものか、それとも彼か。
私と彼のその距離、ただいまゼロセンチ。
いやぁぁぁぁぁぁ! 放してぇぇぇ!!
と、叫ぶことさえもできなくて、私は身体を固まらせた。
抱きすくめられたまま、うつむいて、何も出来ず、ただ彼が手を放してくれるのを待つ。
――嫌だ――
今にも全身が震えだしそうだった。彼に悟られないように、息をひそめて押し殺す。
普段は強気の私だけれど、ひとつだけ、誰にも言えない弱点がある。
――実は私、男性が怖いのだ。
触られると、ダメなのだ。
私が立っていた横断歩道ぎりぎりのところを、猛スピードの車が駆け抜ける。
すんでのところで私の腕を掴み取った氷川が、自分の元へと引き寄せた。
「きゃっ!」
勢いのまま胸元に衝突してきた私を、氷川がしっかりと抱きとめる。
彼の手にしていた傘が小さな音を立てて地面へと転がり落ちた。
私たちは抱き合った姿勢のまま、強い雨に晒される。
全身に打ち付ける雨の冷たさが痛い。それ以上に、彼の腕が温かくて優しい。
「……大丈夫ですか?」
頭の上から声がして、止まっていた思考が動き出した。
私の頬に触れる彼の胸。少し硬くて、思った以上に逞しい。
耳を震わす鼓動の音は私のものか、それとも彼か。
私と彼のその距離、ただいまゼロセンチ。
いやぁぁぁぁぁぁ! 放してぇぇぇ!!
と、叫ぶことさえもできなくて、私は身体を固まらせた。
抱きすくめられたまま、うつむいて、何も出来ず、ただ彼が手を放してくれるのを待つ。
――嫌だ――
今にも全身が震えだしそうだった。彼に悟られないように、息をひそめて押し殺す。
普段は強気の私だけれど、ひとつだけ、誰にも言えない弱点がある。
――実は私、男性が怖いのだ。
触られると、ダメなのだ。