イジワル御曹司のギャップに参ってます!

周囲から変な詮索を受けないように、二人別々に出社して、何事もなかったかのように朝一の会議で顔を合わせた。

会議は、まず昨日行われたプレゼンの結果報告から始まり、今後のスケジュール確認とプロジェクトメンバーの選出が行われた。
今回のプロジェクトは規模が大きいため、全てを統括するマネージャの下に複数のチームを構成し、作業を分担することになる。

まずはプロジェクトの核となるＣＭを担当するチーム。そのチームのリーダには、この企画を発案した私が任命された。
そしてもうひとつ、ＣＭと連動するＷＥＢの企画を担当するチーム。そのチームリーダを任されたのは、氷川だった。

任命早々、氷川が私の企画書に対してダメ出しを始めた。

「この企画案は抽象的な表現ばかりで、具体的にどのような手法を取るのか明言されていない。
その点を明らかにしなければ、全体の足並みが揃いません」

相変わらず攻撃的な氷川節。これを私は宣戦布告だと受け取る。

「お言葉ですが、まだ具体的に手法を練り出す段階ではないはずです。
現時点では、クライアントにイメージを伝えて意識を擦り合わせるのが最重要課題のはず」

「それにしても、あなたの中で何かしらの具体案があるはずでしょう。
でなければ、この企画が本当に可能であるとは言えないはず。
それとも、『何となく』や『雰囲気』で企画したとか言うんじゃありませんよね？」