イジワル御曹司のギャップに参ってます!
一向にこちらを向いてくれない彼に苛立ちが募って、私は彼の方へほんの少しだけ距離を詰めた。
私と彼の間には、今だ一人分の空間が開いている。
苛立たし気に眉間に皺を寄せる、それでも整った彼の横顔が見える。
不機嫌に引き結んだ唇を、なんとかこじ開けたいと思った。
「でも、氷川さんだって私にものすごく冷たいじゃない。
会議ではいつも揚げ足を取るし、やたらに突っかかってくるし。
そっちこそ私のことが嫌いなんじゃないの?」
「昨晩、説明しませんでしたか。仕事とプライベートは別だと」
「でも、こんなに冷たくあしらわれて、好きになれって方が無理でしょう!?」
氷川の瞳がちらりとこちらを向いた。
「やっぱり、私のことが嫌いなんじゃないですか」
「う……」
押し黙った私に、氷川がやっと身体をこちらに向けた。
嫌悪感丸出しの目で私を見下げる。
何か言いたげに口を開くが、出てきたのは大きなため息だった。
「わかりました。それで結構です。
『氷川』という男を、存分に憎んでください」
「え……?」
ポカンと固まる私を見て、氷川はそっと目元に手をやり、自身の眼鏡を外した。
レンズに隠されていた瞳は物憂げで、息を飲むほどに麗しかった。
「その代わり、俺のことは――
『氷川流星』から仕事を抜き取った『流星』という男のことは、好きでいて」
彼はゆっくりと私に顔を近づけてくる。
吸引力のある瞳。魔法にかけられたかのように身体が動かなくなる。
私と彼の間には、今だ一人分の空間が開いている。
苛立たし気に眉間に皺を寄せる、それでも整った彼の横顔が見える。
不機嫌に引き結んだ唇を、なんとかこじ開けたいと思った。
「でも、氷川さんだって私にものすごく冷たいじゃない。
会議ではいつも揚げ足を取るし、やたらに突っかかってくるし。
そっちこそ私のことが嫌いなんじゃないの?」
「昨晩、説明しませんでしたか。仕事とプライベートは別だと」
「でも、こんなに冷たくあしらわれて、好きになれって方が無理でしょう!?」
氷川の瞳がちらりとこちらを向いた。
「やっぱり、私のことが嫌いなんじゃないですか」
「う……」
押し黙った私に、氷川がやっと身体をこちらに向けた。
嫌悪感丸出しの目で私を見下げる。
何か言いたげに口を開くが、出てきたのは大きなため息だった。
「わかりました。それで結構です。
『氷川』という男を、存分に憎んでください」
「え……?」
ポカンと固まる私を見て、氷川はそっと目元に手をやり、自身の眼鏡を外した。
レンズに隠されていた瞳は物憂げで、息を飲むほどに麗しかった。
「その代わり、俺のことは――
『氷川流星』から仕事を抜き取った『流星』という男のことは、好きでいて」
彼はゆっくりと私に顔を近づけてくる。
吸引力のある瞳。魔法にかけられたかのように身体が動かなくなる。