イジワル御曹司のギャップに参ってます!
「東京ラブランドパーク――三年ほど前に開業した、カップル向けのテーマパークです。
大人をターゲットとしているため、アトラクションというよりは、ムードやイルミネーション、飲食などに重点を置いた施設です。キャッチフレーズは『愛を育む東京』。
昨年経営難で売り上げが大幅に低下し、新しく迎えたCEOの元、大幅な改修工事を行い起死回生を試みました。
そのかいあって、現在は好調に売り上げを伸ばしており、行列必須の大テーマパークへと成長を遂げています」

会議室に持ち込んだノートパソコンの検索結果を読み上げたのは青山さん。
青山さんも、氷川と同じく非感情的な合理主義者のようで、きっとウマが合うのだろう、この二人は長いことタッグを組んでやっているらしい。
そのせいかこの二人、語り口調がそっくりでちょっと怖い。
キャリアコースの氷川に対し、出世が少々遅めの青山さん。一年の差にも関わらず、二人の間には『上司』と『部下』という上下関係がしっかりと根付いていた。

彼女の可愛らしい見た目に反し、寡黙で、媚びを売らない竹を割ったような性格が、周囲の女性社員からは疎ましく思われていることを知っていた。
彼女の容姿、性格だけではなく、いつも氷川のそばにいるというせいもあるだろう。
分かりやすい妬みの構図だ。そんな彼女を、ちょっと可哀想だなぁとも思う。
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