イジワル御曹司のギャップに参ってます!
「それでは今日は解散としましょう。朱石さん。のちほど連絡します」
氷川は各々文句を抱えているその場を無理やり締めくくって立ち上がった。
有無を言わさず、自分は仕事を全うしましたとでも言わんばかりにさっさと書類をまとめて会議室を出ていく。
「ちょ、ちょっと待って!」
会議室の後片付けを残りの二人に任せ、私も急いで会議卓上に散らばったペンやら書類やらファイルやらを抱えて会議室を飛び出した。
ヒールを慌ただしく踏み鳴らし軽く息を切らしながら、廊下の先を早足で歩く氷川に走り寄る。
「勝手に決めないでよ! どうして、あなたと二人でそんなところに――」
「仕事だからです。不満ですか?」
「そりゃあ、あなたと一緒に行ったら喧嘩ばかりになるのが目に見えてるし、間違いなく恋人気分は味わえないでしょうね」
せめて市ヶ谷くんや青山さんというクッション材も一緒だったなら、もう少し穏便な社会科見学ができそうなものを。
どうして喧嘩になると分かっていて、私と二人で行こうとするのか。
デートスポットで言い争いなんてまっぴらだし、周囲のカップルにもいい迷惑だろう。
すると、不意に氷川が足を止めた。
突然止まるもんだから、勢い余って前に飛び出してしまった私を、彼は静かに見下ろす。
「では、『流星』とだったら、一緒に行ってくれますか」
氷川は各々文句を抱えているその場を無理やり締めくくって立ち上がった。
有無を言わさず、自分は仕事を全うしましたとでも言わんばかりにさっさと書類をまとめて会議室を出ていく。
「ちょ、ちょっと待って!」
会議室の後片付けを残りの二人に任せ、私も急いで会議卓上に散らばったペンやら書類やらファイルやらを抱えて会議室を飛び出した。
ヒールを慌ただしく踏み鳴らし軽く息を切らしながら、廊下の先を早足で歩く氷川に走り寄る。
「勝手に決めないでよ! どうして、あなたと二人でそんなところに――」
「仕事だからです。不満ですか?」
「そりゃあ、あなたと一緒に行ったら喧嘩ばかりになるのが目に見えてるし、間違いなく恋人気分は味わえないでしょうね」
せめて市ヶ谷くんや青山さんというクッション材も一緒だったなら、もう少し穏便な社会科見学ができそうなものを。
どうして喧嘩になると分かっていて、私と二人で行こうとするのか。
デートスポットで言い争いなんてまっぴらだし、周囲のカップルにもいい迷惑だろう。
すると、不意に氷川が足を止めた。
突然止まるもんだから、勢い余って前に飛び出してしまった私を、彼は静かに見下ろす。
「では、『流星』とだったら、一緒に行ってくれますか」