イジワル御曹司のギャップに参ってます!
「それよりも、少しはクライアントの発言の意図を考えてください。
区画ごとにテーマがまるで違う。これでは、何を思い浮かべながら言ったのか、見当が付けられない」

氷川が難しい顔で首を振る。
確かに、各々の区画には統一感がまるでない。
強いていうなれば、『女性が好きそう』という点と『徹底した世界観創り』という点では共通しているように思えるが、それもクライアントの発言『キラキラクラクラ深くてギュンギュン』の説明にはならない。
私もつられて押し黙っていると。

「それなら俺、なんとなく分かる気がします」

あっさりと言い放ったのは市ヶ谷くんだ。

「東京ラブランドパークと言ったら、まず連想するのはアレですよ。このパークの中心に立つ、『ラブ・キャッスル』」

市ヶ谷くんが私のはるか後方を指した。
南国の葉っぱとハイビスカスの隙間から見える景色の上方に、槍状に鋭く尖った城の屋根が見える。

青山さんが独自で調べてきた情報を付け加える。

「最近話題に上がっているのは、先月オープンした新アトラクション『ラブ・エクスプロージョン』――ジェットコースターです。相模様は新しいもの好きなようですので、真っ先にチェックしていることでしょう」
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