好きという感情に気づけたなら
秘密の気持ち
「音弥さん、これプリント」
「あ、ありがとう」
前の席に座る男子からプリントを受け取った。
『11月修学旅行のしおり』
そんな文字がプリントの一番上に書かれていて、下に目を通していくと日時や行く場所などが細かく書かれていた。
高校2年生の一大イベント、修学旅行。
もうそんな時期か…。
三桜は椅子にもたれかかりプリントをファイルに挟んだ。
一年前と同じ状況なら…休んでただろうな。
三桜はふと考えた。
ーーーいじめにあっていた1年生の頃。
クラスは違ったが櫻と友達になったあの日から、全ては変わった。
昼休みは毎日教室に来て一緒に食べてくれたし、何よりいじめていた子たちから守ってくれていた。
優しくて、美人で人気者。そんな櫻がクラスでいじめられてるーしかも他クラスのー子を庇っているとなるといじめていた子達は三桜達から引くしかなかったのだ。
高校2年生になって同じクラスになった。
三桜は同じ列の一番前に座るふわふわの髪の毛が隠している背中を見つめた。
恩人であり大切な親友。そしてーー
三桜はふぅ、と小さくため息をついた。
しかし、視線は外さない。
私の、初恋の人………。