好きという感情に気づけたなら




「そっか。ならいいんだ」




少し頬を緩ませて微笑むと、十輝はまた前を向いてしまった。




…び、びっくりした…。




三桜は小さく頷いて、そっと胸に手を当てる。



全然話した事もないのに…と言うか1度もないはずだ。


突然、しかも心配されるなんて…そんなに顔に元気のなさがでていたんだろうか。


三桜は自分の頬に手を当てて少しギュッと押したり伸ばしたりしてマッサージしてみた。



表情筋が固まってるのかな?



ムニムニと顔をいじっていると前に立つ修学旅行実行委員の子達が話を始めた。



「自由行動でのグループを決めて欲しいんですけどぉ、女子男子別々でも混合でもよくて、四人以上がルールなのでお願いしま〜す」



いかにもキャピキャピ系の女の子達が適当に指示を出す。



それを合図にするように教室の中が騒がしくなり


一緒になろ、とか誰さそう?など友達の席まで立ち歩くクラスメイトで教室がごった返す。




「音弥〜!誰さそうー?」



前からふわふわの髪を揺らしながら櫻が笑顔でこっちにくる。


「そ、そうだね…どうしよっか…」



ドキドキと鳴る心臓を感じながら三桜も櫻に笑いかける。



ずっと2人でいられるなら…どんなにいいことか




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